命や財産を奪う 恐ろしい邪術・蠱毒とは?
造るだけ罪を問われる蠱毒とは
禁術法律文.国立国会図書館デジタルコレクションより引用
昔の中国の刑法にあたる「律」の中には、蠱毒という文字が出てきます。
清の時代でさえ、蠱毒を造るだけでも罪になると規定されています。
蠱毒の作り方と使用法
それでは蠱毒はどのように作成されていたのでしょう?
蠱毒は製作者から奪うケースがメインですが、
0から手に入れるのであれば通常は次のように作ります。
まずは様々な虫を100匹用意します。
毒虫ではムカデ、サソリなどですが規定やルールはゆるく、
毒をもつ必要も無いですし同じものは3つまで入れていいので
トカゲやクモといった日本にいる生物でも大丈夫です。
またこの場合の「蠱」は、カエルやトカゲなども含み、
判断基準としては古来より
「人間の生活圏に生息できる益虫と害虫」
の全てが該当します。
100匹の虫を全て同じカメに放り込んで蓋をします。
※漬物用のビンなどは使用しないで空気が密閉されないように注意
(正確には出てこれなければいいので落し蓋やラップで多重に〆て穴をあけてもOK)
そうするとカメの中で弱肉強食の戦いが勃発します。
他に食べ物が無いので強い虫が弱い虫を喰うのです。
しばらくすると自分以外を喰い尽した最後の一匹が残ります。
※なぜか同種の生物が複数残ることは無いそうです
それが「蠱」になり、禁術を使用する最重要のパーツになります。
ヘビが残れば蛇蠱、トカゲが残れば蜥蜴蠱など、
最後に生き残る「虫」はその都度違うようです。
非常に幸運に恵まれた場合、結果的に「金蚕蠱」ができるそうです。
金蚕蠱は最後の一匹が金色のカイコのような虫であった場合の蠱の名前です。
「蚕」という字を使いますが、カイコが生き残るのではなく、
生き残った虫が「金蚕蠱」という伝説の益虫に変態すると考えられています。
権力者も恐れた邪術・蠱毒法の効果とは?
「蠱」は基本的に使い捨てですが
良くも悪くも効果が非常に強力な「金蚕蠱」は何回でも使用可能ですが、
永遠に使用する必要があります。
・古代中国で考案された邪術
・昆虫・爬虫類などの毒虫を使って標的となる人を呪殺し、財産を奪うことができる
・ただし、蠱毒を続けることはとても難しい
蠱毒法(こどくほう)は古代中国で編み出された邪術で、
ヘビやガマ、トカゲ、クモ、カイコ、シラミ、ムカデといった昆虫や爬虫類などを使って標的となる人を呪殺し、その人の財産まで奪い取るというものです。
具体的には
- 標的とその周囲の人間に対して絶対的な不幸を永続的に引き起こす
- 標的が享受していた利益・メリット・恩恵・私財などが自分の元へ永続的に流れる
という効果があります(効果としては標的にされると非常に不愉快で迷惑です)。
こうして手に入れた蠱毒は、次のような方法で使用します。
・標的となる人の食べ物に蠱毒を混ぜて食べさせる
(蠱毒を焼いて粉末にしたものや、糞を食べさせる場合もある)
・標的となる人の家の下に蠱毒を埋める
蠱毒は適切に飼育し、占いで日を選んで年に数度祀るようにします。
その後、標的となる人に食べさせたり、その人の家の下に埋めたりして相手を呪うのです。
この邪術が成功すれば、相手の命を奪うことはもちろん、
財産までも手に入れることができるといわれています。
対象者の財産を奪うことができるため、蠱毒法を使う者の家はどんどん金持ちになります。
しかし、「金蚕蠱(きんさんこ)」の例のように、
蠱毒を長期間飼い続けることは極めて難しいため、
結果的に滅びてしまう家も多数あったといわれています。
※金蚕蠱の毎日の餌は現代で言う「シルク」、それと年に1人身内の命が必要です
※ここら辺は日本の動物の禁術における「憑き物筋」「犬神憑き」と同じ法則です
このように強力な効果があったため、古代中国では、
蠱毒を使った者・使おうとした者は死刑に処すという法令が定められていました。
蠱毒法は権力者も恐れるほどの邪術だったのです。